コラム

賃貸オーナーが知っておきたい不動産登記の基本と最新ルール【相続登記・住所変更登記の義務化】

2026年10月26日 オーナー向け

賃貸物件を所有するオーナーにとって、「不動産登記」は物件の権利を守る土台です。普段はあまり意識しないかもしれませんが、近年は法改正で登記の義務化が進み、知らないと過料(ペナルティ)の対象になるケースも出てきました。この記事では、賃貸オーナーが押さえておきたい不動産登記の基本と最新ルールをわかりやすく解説します。

不動産登記とは?

不動産登記とは、土地や建物の「所在・面積・構造」や「誰が所有しているか」「抵当権などの権利がついているか」を、法務局の登記簿に記録して公開する制度です。登記簿の内容は誰でも取得・閲覧できるため、取引の安全を支える仕組みになっています。

登記された権利は第三者に対しても主張できる(対抗力がある)のが大きなポイントです。たとえば、同じ物件が二重に売買された場合でも、先に所有権の登記をした人が優先されます。

登記簿(登記事項証明書)の見方

登記簿は大きく3つのパートに分かれています。

  • 表題部:土地・建物の物理的な情報(所在、地番、地目、地積、家屋番号、構造、床面積など)
  • 権利部(甲区):所有権に関する情報(所有者の住所・氏名、取得の原因や日付など)
  • 権利部(乙区):所有権以外の権利(抵当権、根抵当権、賃借権など)

登記事項証明書は、全国どこの法務局の窓口でも取得できるほか、オンラインで請求して郵送や窓口で受け取ることもできます。内容を確認するだけなら、インターネットの「登記情報提供サービス」も便利です。

オーナーが関わる主な登記

  • 表題登記:建物を新築したときに、建物の物理的な状況を登録する登記(新築から1か月以内の申請義務あり)
  • 所有権保存登記:新築建物について初めて所有者を登録する登記
  • 所有権移転登記:売買・贈与・相続などで所有者が変わったときの登記
  • 抵当権設定・抹消登記:ローンを借りたとき/完済したときの登記。完済後も抹消しないと登記簿に残り続けるので注意
  • 住所・氏名変更登記:所有者の引っ越しや結婚などで住所・氏名が変わったときの登記
  • 滅失登記:建物を取り壊したときの登記(取り壊しから1か月以内の申請義務あり)

【重要】相続登記の義務化(2024年4月1日施行)

これまで任意だった相続登記が、2024年4月1日から義務になりました。

  • 相続により不動産を取得したことを知った日から3年以内に相続登記を申請する必要があります
  • 正当な理由なく怠ると10万円以下の過料の対象になります
  • 施行日より前に発生した相続も対象です(猶予期限は2027年3月31日まで)
  • 遺産分割がまとまらない場合は、「相続人申告登記」という簡易な手続きで義務を果たすことができます

親から相続した賃貸物件の名義が亡くなった方のままになっていると、売却や融資、リフォーム時の手続きが進まなくなることもあります。心当たりのある方は早めに確認しましょう。

【重要】住所・氏名変更登記の義務化(2026年4月1日施行)

2026年4月1日からは、所有者の住所や氏名が変わった場合の変更登記も義務になりました。

  • 住所・氏名の変更日から2年以内に変更登記を申請する必要があります
  • 正当な理由なく怠ると5万円以下の過料の対象になります
  • 施行日より前の変更も対象です(猶予期限は2028年3月31日まで)

あわせて、個人の場合は生年月日などの「検索用情報」を法務局に申し出ておくと、住所変更などがあった際に法務局が職権で変更登記を行ってくれる仕組み(いわゆるスマート変更登記)も始まっています。引っ越しの多い方は活用を検討するとよいでしょう。

所有不動産記録証明制度(2026年2月2日開始)

特定の人が所有者として登記されている不動産を一覧にした証明書を、法務局で発行してもらえる制度も始まりました。相続のときに「親がどこに不動産を持っていたかわからない」という問題の解消に役立ちます。

賃貸経営と登記の関係

入居者に対する「オーナーである証明」

E-Fudo3のようにオーナーが直接入居者を募集する場合、入居希望者は「本当にこの人が物件の持ち主なのか」を気にします。登記簿上の所有者と募集者が一致していることは、信頼につながる大切なポイントです。名義が古いまま、住所が古いままになっていないか確認しておきましょう。

入居者の権利は登記がなくても守られる

建物の賃借人は、賃借権の登記がなくても「建物の引渡し(入居)」を受けていれば、物件が売却されても新しい所有者に賃借権を主張できます(借地借家法31条)。オーナーチェンジで物件を売買する際は、既存の賃貸借契約が新オーナーに引き継がれることを前提に進める必要があります。

なりすまし・詐欺への備え

所有者の住所が古いままだと、法務局や関係者からの連絡が届かず、なりすましによる不正な登記に気づくのが遅れるおそれもあります。定期的に自分の物件の登記情報を確認する習慣をつけると安心です。

登記にかかる費用の目安

登記には「登録免許税」がかかります。税額は原則として固定資産税評価額などの課税標準に税率をかけて計算し、たとえば相続による所有権移転は0.4%、売買による所有権移転は原則2%です(土地の売買や住宅用家屋などには軽減措置があります)。住所・氏名変更や抵当権抹消は不動産1個につき1,000円です。軽減措置には期限があるため、最新の情報は国税庁や法務局のサイトで確認してください。

司法書士に依頼する場合は、別途報酬がかかります。住所変更登記などの簡単な手続きは、法務局の相談窓口を利用して自分で申請することも可能です。

まとめ

  • 不動産登記は所有権を第三者に主張するための大切な記録
  • 相続登記は3年以内、住所・氏名変更登記は2年以内の申請が義務に
  • 過去の相続・住所変更も対象なので、猶予期限までに対応を
  • 名義・住所を最新にしておくことが、入居者からの信頼やトラブル防止につながる

まずは一度、所有物件の登記事項証明書を取り寄せて、名義や住所が現在の情報と一致しているか確認してみましょう。

※本記事は2026年10月時点の情報をもとにした一般的な解説です。個別の手続きについては、法務局または司法書士にご相談ください。

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